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おいしい台所

きょうも台所にいます。

煮豆の記憶

食と記憶

20141112

豆、好きですか?

黒豆、金時豆、小豆、花豆・・

皆さんは煮ますか?

私の母は大晦日にたくさんの豆を煮ます。

大抵は黒豆。時に金時豆。

乾燥豆を水に浸け、時間をかけてゆっくりと煮ます。

母の煮る豆は、甘すぎないのに味が

しっかり染みて、もう一口もう一口と箸が進み

いつの間にかお茶碗一杯分くらい軽く

食べてしまいます。

私の父は母の煮る豆が大好きでした。

私が小さい頃は、石油ストーブの上で

豆を煮ることがたびたびあり、父とこっそり

豆をすくい、つまみ食いをしては母に

怒られたものです。

でも、そんな時の母の顔は「こらっ」という

口調とは裏腹に、いつもにこにこしていました。

父もそんな母を知っていたのか、言われても

またこっそりつまみ食いを繰り返しては

私にもわけてくれ、そんな母とのやりとりを

楽しんでいるように見えました。

父が亡くなり私が嫁いだ後、そんなつまみ食いを

する人もいなくなったのに、母は今も変わらず

毎年たくさんの豆を煮ます。

お正月に実家に帰るとタッパー一杯に煮豆が

詰められていて、帰り際、「持って帰りな」と

渡してくれます。

実家に住む兄は煮豆を食べないし、

私の夫も子どもたちも煮豆があまり好きでない。

それがわかっていても毎年、タッパー一杯の

煮豆を持たせてくれる母。

きっと母の中には、父が居て私が居た

あの頃の煮豆の記憶が鮮明に残っていて、

つまみ食いをする家族が居ないとわかっていても

体が動いてしまうんだろうと思います。

「お父さんもアンタも、好きだったよね、煮豆。」

母はぽつりと言って、にっこり笑います。

だから私は母からもらったタッパー一杯の煮豆を、

家でひとりもくもくと食べます。

母の気持も一緒に、お腹に飲み込むように。

そうしてそれでも残った煮豆を捨てざるを

得なくなった時、

本当にしんみりと、切なくなるのです。

もうすぐ父の13回忌。

そして12月。

きっと今年も母は大晦日に

たくさんの豆を煮るんだろう。

ひとつの儀式みたいに。

母のように甘くてやわらかい煮豆を

作れるような母親になりたい。

食べ物の温かな記憶を残してあげられる、

そんな母親になりたい。

煮豆の記憶とともに、

しみじみ、そう思う夜です。

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